役員メッセージ

かつ便りNo.56 ~前例がない事~

 みなさま 田中かつゑです。家では脱走の可能性がある所、危ない所等はニャンコ立入禁止にしてあります。でも、ダメと言われると行きたくなるのでしょうね。昨日も禁止区域に向かって誰かが駆け出しました。追いかけるのも面倒だったので放っておいたら、「迎えに来てよぉ~」。行かなきゃいいじゃない…

 社内に脈々と流れている慣習・プロセス・決め事を覆すのはとても大変です。第三者の目から見て明らかに改善したほうが良いと思われる上記に関しても、「前例がないから」「ずっとこのやり方で通しているから」となりがちです。以下、私が友人から打ち明けられたほんの小さな例を挙げてみます。

 彼女が、姓が変わったことを会社に報告した時のことです。当然のように名刺の姓も変更を強要されました。けれど、彼女はプライベートで姓が変わった事と仕事には何も関係が無いと思っていたので、その人事からの依頼には承諾しかねました。なので、交渉したところ、出ました!上記のセリフが。その後、お話は平行線のまま。
 人事の方からすれば、さぞかし彼女は我儘に映ったことでしょう。けれど、彼女は社内外とも今まで構築した関係を崩したくなかったし、プライベートと仕事はどうしても切り離したかったのだそうです。さて、前例を切り崩すにはどうしたらいいのでしょうか。

 掟破りかもしれませんが、その時彼女は前例を覆すことが出来る立場の方々にご相談&お客様からの援護射撃という手を使いました。そして、戸籍の情報が変更になっても仕事に無関係である状態が望ましい事を理解して頂きました。その結果、旧姓の名刺使用を「特例」として認められたとのことです。

 実はこれにはオマケがあって、男性から同じ相談を受けた人事はこれを新制度として正式に採用したそう。人事データの中に「戸籍氏名」「会社氏名」の2つの欄が出来たのです。

 この出来事を聞いて、私はこんなことを感じ、学びました。

  • 実態としてジェンダーが存在している
  • 前例がないことを崩すには受け側のメリットあるいはデメリットを明確にするのが大事
  • 新たな物事を履行するためには、その権限がある立場の人を味方に付ける
  • 「前例がない」を崩すにはかなりのエネルギーが必要

 集団の中で規則・しきたり・プロセスは必須です。けれど、一度決めたそれらがずっと最適であることはあり得ないと考えます。人の考え方・トレンド・社会情勢など変動要素を交え、「そもそも、この規則規範プロセスは誰の為に、何のために存在し、何を目標としているのか」を定期的に見直す必要があるのではないかと思います。

 できればその業務に精通していない人をメンバに加え、第三者的立場で検証してもらうのも望ましいと考えます。きっと内部では当たり前と認識されていた物事が、彼/彼女の驚きと共に「なぜ?」という質問が飛び出してくるでしょう。

 新しい考え方はややもすると、自分の許容範囲を超えた突飛な提案かもしれません。でもそこで伝家の宝刀の如く「前例がない」とバサッと切り捨ててしまう事は、同時に自分たちの世界を狭くし、生きづらい選択をしているのではないでしょうか。

 いま私は海外の方とパートナシップを結び、一緒にお仕事をさせていただいています。その中で「郷に入れば郷に従え」と「グローバルルール」の狭間で非常に難儀する事も沢山あります。けれど、壁にぶつかるたびに解決策をひねり出し、着地点を探りながら頑張っていると「前例」が何の役にも立たないことを痛感します。こうしてお互いにハッピーを創り出して進んでいきたいものです。