みなさま 田中かつゑです。長毛なのにブラッシングが嫌いな仔がいます。夏は彼の抜けた毛がまるでタンブルウィードの様に部屋中に転がります(毎日掃除機かけているのに)。冬の彼は伸びた毛が絡まりゴワゴワの手触りになります。なので彼の毛はブラシならぬハサミでジョッキンです。
私を含め、自分に都合の悪いことをしっかりと忘れる事ができる人はとても多い様に思われます。今回お話するのは、思い返すたび心が痛む過去の実話です。これをお読みになった方々の中に、この話を反面教師として節制してくださる方がいらっしゃることを切に願います。
彼の訃報が届いたのは8年前、本当に突然でした。死因は割愛させて頂きますが、その要因の一つが急激な体重の増加であったと聞いています。事実、告別式で彼と最後のお別れをさせていただいた時、異様と言えるほど変わってしまった体形に戸惑ったのを覚えています。彼の傍らには奥さまとお子様方、そしてまるで魂が抜けたかのように佇んでいらっしゃった彼のお母さま。その小さなお身体は立っていらっしゃるのがやっとという感じで、拝見した私も辛かったです。
私が彼と出会ったのは15年以上前。彼は50名程の部下を束ね、ある分野のナビゲーションソフトウェアを開発しておりました。何度かお食事をご一緒させて頂いたときに感じたのが、揚げ物がとてもお好きでいらっしゃること。そしてお野菜、特に葉物の野菜がお好きでない事、お酒を召し上がるスピードがとても速い事。失礼ながら健康診断のお話をそれとなく振ってみると、案の定脂質異常、血圧、血糖値が赤信号です。他人事ながら心配になってしまいました。
その後しばらくして、ポールウォーキングで汗を流している彼とばったり出会います。ご自宅から職場まで凡そ1時間強の道のりを歩いて往復する事にしたそうなのです。その切ない理由は…帰省した時に彼のお母さまから「お願いだから私より先に逝かないでおくれ。」と泣かれた…とのこと。「この年になってまで、年老いた母を泣かせてしまってね。」と彼はバツが悪そうにおっしゃっていました。ウォーキングの他にもお食事にも気を使われているご様子で、その2年程後にお仕事の関係でお会いした彼は別人のように健康そうな体形に変身(失礼な言い方ですが、これ、私の素直な感想です)していらっしゃいました。親孝行ですね、と二人でにんまりとしたものです。彼とはお互いに多忙も加わり、その後疎遠になっておりました。冒頭の訃報が届くまでは・・・
あの、健康そうな彼にお会いしてから、たった1年。彼の心境と行動に何があったのか伺い知ることもできません。お仕事のストレスか、運動を止めてしまったのか、食生活が変化したのか、その全部なのか。奥さまのお話しでは、彼は突然自宅で倒れ、救急車で病院に搬送された後10日間程意識不明の状態が続いたそうです。そしてその意識は戻ることなく天に召されたとのこと。私は告別式で初めてお子様方のお顔を拝見したのですが、末のお嬢様はまだ中学生位に見受けられました。上の御子息も社会人の雰囲気は携えておりません。まだまだ、お父さんは頑張らなきゃいけない時じゃないですか。なんともやるせない気持ちになりました。さらに彼のお母さま。彼は結果としてお母さまを泣かせてしまったのです。
この記事を読んで他人事と自信を持って思える方は、どうぞ読み飛ばしていただいて結構です。けれど、ほんの少しでも脛に傷を持つ方々、どうか、立ち止まってくださいませんか。今一度健康診断の結果を振り返って欲しいのです。BMI、血糖値、脂質、血圧、等等。また日頃の食生活はいかがでしょうか。身体は動かしていらっしゃいますでしょうか。何かあってからでは遅いのです。あなたを思ってくれる大事な人のお顔を思い浮かべて、少しでも良いので結果が悪かった箇所を見直してみませんか。もちろん近々赤いちゃんちゃんこを着る年齢に近づいた私も、子供たちの為に元気でいることを約束します。