みなさま 田中かつゑです。ニャンコの食事は朝夕2回。この頃食べるスピードが速い仔が、勢い余って胃の許容量を超えてしまうらしく、リバースすることが頻繁に起きるようになりました。なのでその仔だけ小分けにして1日4食。美味しく食べましょうね。
友人が「金継ぎ(Kintsugi)※」に夢中です。大事にしていた陶器が割れてしまい、何とか修理をしたいと金継ぎ師に依頼したのが始まりなのだそうです。ここで金継ぎを選択した理由は…。ただ単に欠損した箇所をくっつけるのならば、例えば瞬間接着剤でも良いのでしょう。上手に修理すれば割れた個所がどこか分からないような仕上がりにも出来ますので。ところが金継ぎでは、割れていた個所が金色に目立って、まるで別物に生まれ変わった様な出来栄えです。その、「物を大事にする心」と「新たな価値を吹き込む」という思想と技術に感嘆したからだと友人は言っていました。
金継ぎで陶器を再生するには時間がかかります。やり方にも依りますが全工程で半月程でしょうか。
こんな感じです。
- 割れた陶器の断面に漆を薄く塗り、乾かす(概ね半日以上)
- 破片同士を、漆を用いた接着剤(麦漆)で張り合わせ、一週間以上かけて硬化させる
- 陶器からはみ出た麦漆を削る・研ぐなどして滑らかにする
- 欠損部分に.隙間があった場合、埋めて再び硬化、滑らかにする作業を行う
- 接合部分にさらに漆を筆で塗り硬化(1日以上)
- 耐水ペーパーで塗膜の表面を水研ぎ。3回繰り返して塗膜を厚くする
- 再び漆を薄く塗り、半乾きさせてから金粉や銀粉を塗って定着させる。数日かけて硬化し完成
漆の液は人が触るとかぶれます。そのため金継ぎ作業は手袋、エプロンなどで身体を保護します。所作は丁寧に行い、漆が周りに飛んだりすることを防ぎます。作業途中の陶器は非常にデリケートな状態にあるので、大切に扱い、ゆっくりと日数をかけて漆が自然に硬化するのを待ちます。最後の金粉・銀粉を塗るときは息を止めるが如く、最大限に丁寧な作業となります。
このように手順を追っていくと、一回割れてしまった陶器が人の手によって丁寧に丁寧に息を吹き返していくようですね。友人が嬉々として夜なべをしている姿が浮かびます。
この金継ぎ、手先を細やかに使い、神経を集中させるので、60代の友人にはとても良い趣味だと思っています。さらに作品を生み出すことで達成感も味わえ、エコ。良いことづくしに感じます。(友人がご自宅のお皿を故意に割り始めないことを祈っています…) 実際、ご自分の作品写真を見せてくれた時の友人の破顔はとても活き活きとしていました。
このように第二の命をもらった陶器は、やはり前世とは違い取り扱いには留意が必要です。扱いは丁寧に。電子レンジ・直火や食洗器はご法度。基本的に漆器と同じように温度・湿気・重さに気をつける必要があります。でも、物が溢れている今、わざわざ時間をかけて息を吹き返した陶器は、まさに「世界でただ1つのもの」。修理過程に思いを馳せ、いつまでも大切にして欲しいな、と友人は呟いていました。
どなたかこの金継ぎにご興味があったら、ご連絡くださると嬉しいです。
※Kintsugi is a traditional Japanese repair technique that uses lacquer to adhere damaged parts of ceramics such as cracks, chips, and cracks, and decorates them with metal powder such as gold and silver.