みなさま 田中かつゑです。気温や天気が安定しないこの頃。ニャンコたちもお昼寝に快適な場所を探してうろうろしています。長毛で毛深い仔は床の上。短毛でお腹の毛が殆どない仔はクッションの上と、それぞれお気に入りの場所がある様です。これからは蒸し暑い夏。快眠は大事よね。
私は情報サービスの世界にいます。ITの技術を駆使し、お客さまが便利あるいは必須であると判断なさった「これがあったら良いな~」をソフトウエアの機能としてご提供し、最適な状態を保ちます。
そのため、お客さまの真意や、言語化できない隠れたる要望を出来るだけ具体的にヒアリングし、お客さまの予算と突き合わせながら、実装機能のあれこれに頭を悩ませるのですが、この頃つくづく思います。初動の大切さを。
この続きをITの世界でお話しすると堅苦しくなるので食べ物になぞってみようと思います。
あなたの友人が冷奴食べたいな、作ってくれる?とあなたにお願いをしてきました。冷奴、いいですね。暑い夏にはさっぱりと頂きたいです。そこで、親切なあなたはそれを手早く作り、友人にどうぞ、と差し出しました。ところが、友人の方は怪訝そうな表情。どうしてこうなったのでしょう。
原因として、あなたと友人の各々が思い描いていた「冷奴」。これが、異なることが考えられますね。
例えばこんな風に。
冷奴の構成 | あなたの思う冷奴 | 友人の思う冷奴 |
豆腐 | 絹ごし豆腐 | 木綿豆腐 |
薬味 | おろし生姜 刻み葱 鰹節 | 刻みキムチ 刻みニラ すりおろしゴマ |
つゆ | 醤油 (かけた状態で食卓に出す) | めんつゆ (食べる人がかける) |
豆腐の形状 | 四角いまま | 賽の目切り |
この例では同じ言葉(冷奴)を使っていたとしても、各々が認識している具体的な材料と調理方法が異なっていたためすれ違いが起きたことを表しています。
さて、これを防ぐにはどうしたらいいのでしょうか。
その答えが
- 料理の最初の工程である、材料をそろえる前に、友人に冷奴の構成を詳細にヒアリングする
- 確認の意味で言われた言葉を何かに置き換えてみる
(例えば、友人が「豆腐は賽の目に切る」と言ったら、1つの具体的な大きさを聞く)
つまり前工程をしっかりと行う事なのです。今回の例では、豆腐の種類と調理時の大きさ・薬味の種類と切り方・つゆ各々について、友人の好みを聞き、それから調理に入れば良かった訳ですね。
簡単な例でご紹介しましたが、この齟齬はどんな場面でも発生する危険性をはらんでいます。そして後工程になればなるほど修正が困難あるいは不可である可能性もある訳です。(出来上がった冷奴に「これじゃない」って言われても…作り直しですか?そうしたら、もう作ってしまったものはどうしましょう…ってなりますね)
お客さまとの打ち合わせ時、上司から仕事を指示された時、友人と会話をしている時、等々。人は自分の経験値を元にその中で言葉の持つ意味を自分なりにイメージしてしまう事が良くあります。そのため、特に解釈が複数考えられる言葉に対しては、それらを他の言葉で言い換えるか数値化して合意する事が、後の作業を正しい方向に導いてくれる指針となります。
さらに確認と合意が後の作業での出戻りを防いでくれます。
特にこんな言葉には要注意ではないでしょうか。
- なるべく早めに・急いでいないからなど、作業の締切りを具体的に知らされなかった場合
- 綺麗に・可愛くなど、イメージ先行の言葉が出てきた場合
- 必須でないから・できればなど、判断がどっちつかずの場合
各人の脳内変換というバイアスを取り払って、数値化あるいは条件等を明確化し、これでいいよね、と双方合意すること。これが短納期かつ、高品質への近道となります。但し、お相手の急な心変わりや失念、あるいは確信犯に対応できかねるのが課題ではありますが…(この対応方法は現在模索中です)