役員メッセージ ニャンコ

かつ便りNo.142 ~猫は人に合わせる~

 

 みなさま 田中かつゑです。暑い日が続くとニャンコたちも食欲が落ちてくるようです。冬に比べてご飯の食べる量が減ってきました。但し、体格の良い仔は例外の様で、いつでもモリモリと食します。万が一彼がご飯を食べなくなったら…すぐに動物病院に連れて行かなきゃ!

 猫(だけではなく、おそらくどんなペットでも)の学習能力と喜怒哀楽の表現にはいつも驚かされます。特に新参者は、先輩の行動様式をじっと観察し、時には教わり時には失敗しつつ、その家の中での生き方をマスターしていくように思います。また、人間の様子もしっかりと観察をしていて、やって良い事と叱られることをしっかりと分かっている様に見受けられます。例えばこんなこと。

・(猫を飼っているお宅では常識と言われそうですが)猫は、網戸を器用に開けます。
そこからお外に脱走~ってことも日常茶飯事なので、網戸ストッパーという器具を取り付けるのが私たちの防御策となります。
で、それらを取り付けた時の事です。何回か網戸を開けようと四苦八苦していたニャンコ達ですが、彼らの知恵と力では不可抗力と納得してから、ぴたっと挑戦を止めました。無駄な努力はしないのよ、とみんなで網戸の前で寝そべっています。

・食事時に早く食べすぎて戻してしまう仔がいます。
そのため2回に分けてご飯をあげるようにしているのですが、1回目のご飯は他の子より1時間程早い時間になります。
いざ、ご飯。1回目のご飯をその仔に知らせます。「へいた、ご飯よ。」 
ここで偉いのが他の仔。へいたがご飯を食べている時、決して欲しがりません。無関心を貫いています。1時間後に自分たちも食べられるってわかっているみたいです。

・さて、みんなのご飯の時間です。
へいたは2回目なので他の仔たちより量が少なく、当然早く食べ終わってしまいます。
すると彼はじっとみんなの後ろに回り、誰かが食べ残すのを待っているのです。誰かがすこーしだけ残したものを、3度目のご飯として「いただきます。」をします。
毎回ご相伴には預かれませんけどね。私はこれをガベージコレクションと呼んでおります。

・我が家は寝室には猫を入れません。毛の始末が大変なのと10匹で私のベッドを占領されたら安眠が著しく妨害されるからです。
それを知っている彼らは(寝室には行きたいけれど)行きません。行くときは構って欲しい時。
「行っちゃうんだよ~捕まえて欲しいの~抱っこして欲しいの~」と叫びながら寝室に向かって走っていきます。稀に私が別の何かをしていて、そのアピールに気がつかないと、彼らは文句を言いながら戻ってきます。(行かなきゃいいじゃん……)

・肝臓の治療でずっと投薬をしている仔がいます。お薬は缶詰(ウエットの餌)に混ぜて与え、それを食べ終わったらドライフードを追加しているのですが、アホな人間は時々それを忘れます。
そうするとドライフードを待つ彼は、皿の前で無言。じっと佇み、哀愁を漂わせるのです。その人間を目で追う姿に対し、罪悪感が湧いてしまうのは私だけでしょうか。

・猫同士ではボディーランゲージ意思疎通をしている様で、ケンカやいざこざ以外では鳴き声を発しません。彼らが鳴くのは人に何かを要求しているか、会話をしているかの理解です。
「抱っこして」「撫でて」「お腹が空いたの」「甘えたいの」等など、彼らは真っすぐ人間の目を見て甘ったるい声を出します。こちらが彼らの意図を汲めずに頓珍漢なリアクションをすると、ドスの利いた鳴き声に段々変化します。怖いです。

・食卓では人間の食べ物に手を出すと叱られるのが解っているので、じっと健気に待ちます。
焼き魚の時は欲しい気持ちが抑えられず「ちょうだいのポーズ」を披露してくれます。但し人間の隙を虎視眈々と狙っている事には変わりはなく、少しでも目を離すとお願いが一瞬で失敬に変化します。
食事時はある意味人間と猫との騙し合いあるいは戦いと言えるでしょう。

 このようにイベントを並べてみると、良く言われる「猫は気まぐれ」は違うのではないか?と錯覚します。ちゃんと人に寄り添い、人に合わせ、人の生活に溶け込んでいます。そして多分彼らも幸せなのでしょう。野良時代の険しい、怯えた、鋭さはもう欠片もありません。可愛いまん丸のお目目で甘ったれた鳴き声で、自分の欲求を通す。あれっ?もしかして私たち人間が猫に仕えている?と勘違いをしてしまうほどに。