みなさま 田中かつゑです。長い夏はまだまだ終わりそうにもなく、ニャンコ達への抱っこもしばらくお預けのままです。けれど彼らは寂しいみたいで、ちょっと私が椅子に座ったりしていると、膝に飛び乗って来る仔も何匹かいます。ニャンコの体温は38℃程なので人の膝でも涼しいのかな（5分後には退散していきますが）。
自宅の近くには、ジョギングが出来るコースや外遊びが出来る規模の大きめな公園があります。もちろんルールを守りながらペットの散歩をしている方々もいらっしゃいます。ご主人様と一緒に楽しそうに歩いているワンコを見ていると、こちらもほのぼのとした気持ちになります。
そして夕暮れ時に時々見かけるのが、台車に30kg程の大きなワンコを載せていらっしゃる初老の男性。ワンコはかなり高齢なのでしょう。足腰が立たず台車にうつ伏せのままです。いつも台車を止める位置は決まっていて、芝生が気持ちの良い広い空間です。そこで、男性はワンコを背中から抱きかかえ、芝生の上にそっとおろしてあげています。ワンコは草木の匂いを嗅いで、微かに首を振っています。きっとお散歩をしている気分になって嬉しいのでしょう。その場所で20分程、男性とワンコは外の空気を楽しみ、また台車にてお家に帰っていく様子です。私が初めてその光景を見たのは今から2ヶ月程前の事。ジョギングのために公園に行くと、いつも同じ時間にそのペアが現れるので、多分毎日男性はワンコを台車越しとはいえ、お散歩に連れて行ってあげていると思います。
抱っこが簡単な小型犬とは違い、かなりの大型犬なので台車での移動と言う手段になったとは思います。毎日毎日公園に赴き、ワンコを抱っこして移動させて土や草の匂いをかがせ、抱きかかえて歩く気分を体験させてあげる。とても大変なことだと思います。失礼ながら男性も70代位のお年に見受けられます。ご自身のお身体もしんどいことがあるでしょう。それでも、足腰が立たなくなったワンコに対し、何かしてあげたいという気持ちがとても伝わってきます。ワンコも男性に対し万全の信頼を置いているのがわかります。家族なんだなぁと改めて人間とペットの絆を感じました。
犬や猫といった一般的な愛玩動物は寿命が長くて20年程。どうしても人より早く年齢を駆け抜け、小さすぎて抱っこすらためらわれるような仔犬仔猫は、いつの間にか飼い主の実年齢を追い抜いていきます。私たち飼い主の目から見ると家族として迎え入れた時から、可愛さはみじんも変化していないけれど、客観的に見れば彼らは確実に老犬老猫になっています。あとどれだけの時間、大事なこの仔と過ごせるのだろうか。食がいつの間にか細くなり、機敏な動きも鈍り、寝ている時間が増えた彼らと触れ合う度に、そんな思いがよぎります。
我が家の10ニャンは私にとって3代目ですが、１代目、２代目のニャンたちもいつも私の心の中にいます。確実に思い過ごしなんでしょうが、ふとした何かのタイミングで虹の橋を渡った彼らの気配を感じることもあります。特に仕事で苦しかった時代の私を支えてくれた１代目の茶トラと三毛には、もう一度会いたい、と叶わぬ願いをかけたくなってしまいます。
自分自身の成長と年月を一緒に過ごしてくれた彼ら。人と一緒に過ごすこととはちょっと違い、彼らと一緒の時間を過ごすことは、特別な何かがあるような気がします。共通の言葉を持たなくとも、（多分）お互いに考えていることが感じ取られる安心さ。彼らが甘えてくることにより実は私たちが癒される幸福感。彼らと一緒にいると可愛さと愛おしさが溢れて来て、自分の心がほわほわして来るのを感じます。
毎日公園に老犬を労わりつつ散歩に来る男性も、今までのワンコとの楽しい嬉しい日々を思い返しながら、感謝の気持ちと愛情をそのワンコに語っていることでしょう。願わくばその穏やかな日々が一日でも長く続きますように。愛玩動物と一緒に過ごした日々は、何物にも代えがたいと私は勝手に思っています。