役員メッセージ 仕事に関すること

かつ便りNo.109 ~なぜ働くんだろう その2~

 

 みなさま 田中かつゑです。我が家のニャンコ達は全員保護ネコで、親猫からの愛情を充分に受けたとは言い難い所があります。そのため、殆どの仔がウールサッキング(布を噛んだり吸ったり、前足でもみもみしたりを繰り返すこと)の行動をします。これから寒い冬。暖房をどの様に工夫しようか苦難ですね。。。

 みなさまはSNSと上手くお付き合いしてらっしゃいますか。実生活で素敵な方とお友達ですか。私は、いつも明るく楽しく前向きな方とお話しできる機会があると、勝手に「いいなぁ。この方はお悩みなんてきっとないのでしょうね。」思ってしまいます。また、SNSなどに幸せオーラを掲載している方に対しては、素直に「羨ましいなぁ」と感じます。

 普通の精神状態の時は、他の方の素晴らしい日常を垣間見ても、それが自分の心に巣食うことはないのですが、私自身が何かで落ち込んでいる時、例えば仕事で行き詰まっている、私生活でトラブルがあった、忙しすぎて余裕がない、等の時は、画面の向こうのキラキラした世界と自分を比べてしまう事があります。意味がないのに。比べても現実は何も変わらないのに。

 そんな私は、ある人とお話をして、人生観がガラリと変わりました。仮にその方をSさんとします。Sさんはある企業の副社長で世界中を飛び回っていらっしゃった方です。なんでも1年のうち1/3は機上の人だったとか。0泊3日とかの弾丸出張も多く、他人事ながらお身体大丈夫?な生活だったそうです。当然、桁外れのお金持ちで、豪邸に住まわれ、奥さまとお嬢様と犬に囲まれた素晴らしい生活をなさっています。その彼が転職するというのです。それも国内の小さな会社に。当然海外支社などは無い規模の会社に。…丁度彼とお話しをする機会を得た私は、「転職なさるんですって?」と水を向けました。そして、その納得の理由を知ったのです。

 「あなたは仕事に邁進するあまり、私(Sさん妻)と子供(Sさんお嬢様)をないがしろにし続けた。このままの生活を改めることが出来ないのであれば、財産を折半して離婚します。」と奥さまに最初で最後の通告をされたので、誠意を尽くした。とのこと。

 今彼は午後5時には退社し、家族と夕食を共にし、お休みの日は家族でのんびりと過ごしているとのこと。「仕事を免罪符にして、最も大事な幸せを壊してしまう所だった。」と言います。

 彼にとっての仕事は大切な人を幸せにするための手段のはずだったと聞きました。それが主従逆転してしまい(おそらくお仕事にのめり込んで)、仕事を伝家の宝刀よろしく家族に振り回してしまったと彼は言います。後に聞いたことですが、彼は今までお子様の幼稚園や学校の行事はもちろんの事、家庭の行事や男手が必要な家事ですら一切関与してこなかったとのこと。さらにご家族との会話が半月ほど無いのも日常だったとか。奥さまが最後通告をなさったお気持ちもわかります。

 転職後の彼とお話をする機会がありました。私が大手企業の副社長と言うポジションを捨てることにためらいはなかったかを不躾に質問すると、彼はにっこりとほほ笑んでこう答えました。

 「もちろん迷ったさ。ただ、20年後、30年後を考えた時、自分は妻と一緒に年を重ねていきたいと思ったんだ。もちろん仕事で繋がった友人も大事だけど、彼女(Sさんの奥様)とは生涯で繋がっていたいんだ。」

 重ねて(私もしつこいですね)、高いポジションにいる人を羨んだりすることはない?と畳みかけると、「何故?」「自分の幸せは自分にしかわからないし、人と比べるものでもないよ。」

 そうなんですね!私も目が覚めた思いです。

 今後彼は(私から見てもお仕事大好き人間なので)家庭とのバランスを取りながら、彼と奥さまに最適な人生を歩んでいくことでしょう。私も仕事というものに対して、今一度考えることができる良い機会を与えて頂きました。