役員メッセージ 素敵な方々

かつ便りNo.113 ~山と出会い ~

 

 みなさま 田中かつゑです。寒くなってくるとニャンコが膝に乗ってくることが増えます。嬉しいひとときです。なのに、なのに…ヒーターのスイッチを入れると、ニャンコたちはそこに群がり寝そべり…。そうね、私よりヒーターの方が絶対に温かいものね。その気持ち分かります。私はヒーターに負けました。

 4年程前から楽しみながら体力をつけることと、富士山を見たい事(私は静岡県の生まれです)が重なり、関東周辺の低めの山に登ることを始めました。ひと月に2-3回ほど日帰りで出かけています(実はお目当ては、下山後にその土地のラーメンを味わう事だったりします)。登山途中では、時折素敵な方々にお会いすることもでき、それもモチベーションの1つになったりもします。

 その中で結構な頻度でお見かけするのが老若男女問わずお一人さまです。みなさま思い思いのスタイルで山を楽しんでいらっしゃるようにお見受けします。今回はその中で、私がとりわけ印象に残ったお2人をご紹介したいと思います。

 お1人目です。その男性は毎日同じ山を同じ時刻に登っていらっしゃるとのことでした。御年70代の後半くらいにお見受けします。なのにですね、その方、尋常じゃないくらい健脚なのです。まるで平地を歩くかのように、(私にとっては)険しい山道を登っていきます。そして登山道内に時折落ちているゴミやガラスの破片など山と登山を楽しむ人々にとって良くないものを拾っているのです。「うちの母ちゃんは(多分奥さまの事です)俺より早くこの山に登ってよぉ。俺より多く頂上を楽しんでいるんだよぉ。俺、母ちゃんに追い付きたくて毎日頑張っているんだよう。」可愛い!!!「ゴミがあったら山や動物((誤食するかもしれないので)可哀そうだろ。それにガラスは土に還らないから誰かが怪我をするかもしれないさ。」崇高なお心!!!「自然を使わせてもらっているんだからよぉ、自然に感謝だよ。」その通りでございます!!!聞けば毎日欠かさずその山に登りゴミ掃除をし、8合目辺りに建てられている神社にお参りをするのが日課だとか。同時に自然災害などで地形が変化した場合、ご自分も所属なさっている山岳会のメンバーで登山道を整備なさっているとのことです。私、恥ずかしながら山歩きをしていたのにも関わらず、こうしたボランティアや地元の有志の方々が地味に山を守っていてくださっている、そのご苦労に対して何も思う事がありませんでした。恥ずかしい限りです。いつも山を守って下さりありがとうございます。私もゴミ拾いくらいはさせてください。

 お二人目です。その女性は一歩一歩を踏みしめるようにゆっくりと、しかし着実に進んでいらっしゃいます。急な山道でもペースを乱すことなく確実に。お見受けしたところ70代位でしょうか。周りの景色を楽しみ、草花の写真を撮りながら自然を満喫していらっしゃるご様子です。いいなぁ、ご自分の時間を楽しんでいらっしゃる、と私はその女性が単に山歩きがお好きなんだなと思っていました。ところが、何故か植物の写真を撮った後、プレートを取り出し、ペンで何やら書き込んでいるのです。どうやらその植物の名前の様です。そして、そのプレートを植物の脇の土に刺して、また歩き始めます。何をお書きになったのかと覗き込んでみると、植物の名前・開花時期・植物を愛でて楽しいで欲しい旨のお願い(採取しないで欲しい)などが書かれてありました。実はこの山は公園と一体となっている場所で、登山目的の他にも公園で憩うのを楽しんでいらっしゃる方々も大勢訪れます。ご婦人は植物の事を、訪れる方々皆にお伝えすると同時に、「野草を採取しない」マナーも訴えていらっしゃったのです。もちろん、彼女はその山と公園の管理者である市から委託を受けて作業をしていらっしゃるのですが、プレートに書かれた言葉から、植物に対する慈しみと愛情、自然に対する造詣を受け、私は何とも尊敬の念を感じずにはいられませんでした。私も植物の名前を教えてくれるアプリを導入しようかな。

 多分何事に対してもそうなのですが、私たちが利用者として、何らかの享受をする施設においては、例えそれが「自然」だとしても、私たちが心地よく利用できるように裏方のお仕事をなさっている人たちが沢山いるのだと思います。私たちはその方々に感謝をすると同時に私たち自身も当該施設に対しルールを守り、美しい環境を守り、お互いが気持ちよく利用できるよう心掛け実行する。自然も施設も綺麗なまま存続して欲しいです。