役員メッセージ 仕事に関すること

かつ便りNo.130 ~自覚をする事~

 みなさま 田中かつゑです。肌寒い時の暖の取り方。
その1、飼い主の膝を独り占め(他ニャンコとのバトル付き)。
その2、お布団の中に入る。
その3、他のニャンコにくっつく。
これら全て長毛の仔の所作です。何故か短毛の仔たちは座布団の上でおくつろぎ。肌寒い位では堪えない様です。

 仕事柄、さまざまな部下の報告資料、プレゼン案、生産物などをレビューしてきました。完成度を高めるため、発表するお相手に趣旨が伝わるよう、こちらからは様々な指導・指摘を行います。ところが人によっては、こちらの指導が全然届かず、毎回振出しに戻り…。また他の人はレビューでの会話を聞いていたのかいないのか、見事に資料がレベルダウンしており…。そこで部下一人ひとりをじっくりと観察しながら会話をしていると、なるほど。改めて感じたのが「自覚」。今の自分の立場、目指すべきゴールに向かってなすべきことと優先順位。それらを理解しているか否かで、その資料の出来、ひいてはその人の伸びが全然違うのです。下記の例はまさに良い結果となった見本です。順を追ってご説明致します。

 Aさんは入社5年目。30歳前後でこれから中堅としてぐんぐん伸びていく可能性を秘めています。その彼がお客様との商談に使用するプレゼン資料をレビューした時です。5回行ったレビューを追うことで、彼の成長プロセスをご一緒にお楽しみください。

1回目:
【資料】起承転結はどこぞ?(何をお客様にお伝えしたいのだろう・・・?)
⇒現状分析/課題/施策/効果にまとめてみよう。そのために伝える情報を整理してみよう。
【語り】俺自慢になっている・・・(言いたい事を自分だけが理解できる順番で話しているよ)
⇒聞き手を具体的に想像しよう(役職・年齢・何故、こちらのプレゼンを聞くのか、等)そして聞き手が興味を持つであろう情報を提供しよう。

2回目:
【資料】起承転結には近づいた。けれど、課題のページに施策や効果が先走り。そのため、施策・効果のページが冗長&前ページと違う事を主張しているよ。
⇒1枚の資料には主題は1つ。複数書くと相手が主題を勘違いしたり混乱したりするよ。
【語り】二重敬語、丁寧語と謙譲語が混じり。「えっとぉ」「あの~」が多すぎないかな。
⇒敬語は無理して使わなくても大丈夫。語尾を「です・ます」調で統一してみよう。話す時はまず大きく息を吸って落ち着こう。

3回目:
【資料】強調する図形が多すぎて、目線をどこに合わせたらいいのか…?どれが一番大事な情報なんだろう?
⇒一番理解してもらいたい情報だけを書いて、あとは語りで補完しよう。
【語り】聞きたい事に至るまでの話の展開が長くて、疲れてくるよ。
⇒限られた時間の中で聞き手に理解と興味を示してもらうように、①結論②その理由と背景の順番で説明しよう。

4回目:
【資料】情報が多すぎて、説明を受けている間も必死に読まないといけない感じだ
⇒字のポイント数を大きくしてみようか。そして補完のために書いた情報は思い切って削除しよう。語りと質問応答に備えて手持ちにしておこう。
【語り】想定外の質問が来ると、しどろもどろになっちゃうね。
⇒応酬話法作ろう。わからない事を聞かれたら「その件に関しては即答できかねますので、後日調査の上回答させてください。」とか、素直に「分かりかねます。」でも良いんだよ。

5回目:
【資料】内容の訂正はなし。
⇒フォントは遠くからでも見やすい物を選ぼう。インデントをそろえよう。色使いはユニバーサルデザインを意識しよう。
【語り】緊張すると、早口になるね。
⇒自分の前に鏡を置いて、微笑む練習をしよう。意識してゆっくり話そう。

 さて、お客様へのプレゼンは?見事成功。お客様からは分かり易くて良かったとのお言葉を頂いたとのこと。彼もグンと成長したかのように見えました。やり切った感満載です。
レビューは全てリモート会議で実施したのですが、3回目から彼の服装が正装+整髪に変わりました。同時に彼はレビューを録画し、私の指摘一つ一つを彼なりに反復解釈し、自分でお客様を想像しながら見やすく、分かり易い資料を目指し、発表の練習も何回も行ったと言っておりました。自分なりに工夫をし、ゴールにたどり着けました。

 自分でやるべきことを深く心に刻み、その道に向かって試行錯誤しながらでも進んで行った先には、それなりのゴールが待っています。自らさとり行動することは素晴らしいと、いつもやる気が出た部下の目を見ながら逞しく思います。