役員メッセージ 家族、友人、周りの方々との関係

かつ便りNo.139 ~ジェンダーバイアス~

 

 みなさま 田中かつゑです。ニャンコたちへのブラッシングの季節です。10匹もいると「大漁」でして、一回のブラッシングで直径8センチほどの立派なヘアボールが出来上がります。そのボールに目を輝かせて、追いかけるニャンコ。他の仔も加わってサッカーもどきが始まります。これが本当の自給自足…なのかな?

 多分誰もが、生まれ育った環境や身内を含めた周りの人々、受けた教育や読んだ本等、様々な情報を元に自分なりの価値観を形成していると思われます。そしてその中には、後年誰かの影響や何かのイベントで自分の信じていたものが脆くも覆った、なんてこともあるかもしれません。また頭では分かっているつもりでも身体と心に染みついている変えられない価値観もあろうかと思います。

 先日こんなことがありました。ある知人が足にけがをして2週間程歩けなくなった時の事です(彼女にはご主人と10代前半の男の子二人のお子さまがいます)。同僚の男性と話をしていて彼女の話題になった時、彼から「男の子だけだと家事が(出来ないので、彼女が動けない間)大変でしょうね。」というセリフが。

失礼ながら私には【男の子だけだと】がとでも引っかかりました。
何故?それは女の子がいれば家事をやれるので大丈夫ってこと?家事って文字通り「家の事」なのに何故性別が関係するの?と思考が働いたのです。(上記男性のセリフに全然違和感を持たない方もいらっしゃるとは思います。)

その発言をした男性の年代は私と同じ位。「昭和※」を生きてきた方です。

※俗にいうありがちな昭和の男性:男性は家の外の仕事担当、女性は家の中の仕事担当と明確に意識分けしているため、男性が家事や育児に関わらない、だそうです。ニュースソースは不確かですが。

そのため、全くの悪気無しで、【家事分担である女性が怪我をしてしまったら、その役割を担う他の女性がいないため大変だろう】と思いが浮かんでしまったと推測します。

けれどですね、その方は会社では人事関係のお仕事をなさっていて、男女雇用機会均等法に始まり、ワークライフバランス、【スーパーくるみん】、【えるぼし】にも積極的に関わっていたので…だからこそ、無意識のジェンダーバイアスが出てしまったことが垣間見えたその時、私はとってもびっくりしたのです。

まあ、そんなことを偉そうに言っている私にも、きっと刷り込まれた何かの価値観が根付いているのでしょう。例えば、「男性は女性よりも力が強いはず」とか、「女の子はお人形遊びが好きだと思う」とかですね。(実際は、私自身が子供の頃は男の子と一緒に駆け回っていたので力は強かったし、お人形遊びは嫌いだったにも関わらず。)

 仕事の場では会社や社会のルール内で各々の役割を担当しつつ、ビジネス拡大・社会への貢献を実現していくので、個人の価値観はあまり顔を出す機会が無いと思います。ジェンダーバイアスに抵触することを思ったとしても面と向かって口にするのは(大人の行動として)さすがに憚られると推測しています。会社内でジェンダーフリーの教育を受けていれば尚更、仕事内で個人の価値観そのものが発端となったトラブルは少ないかもしれません。

けれど、ふとした時に心に刷り込まれた本音が出てしまう事は…ない、とは言い切れないですよね。

 この小さなイベントは私にとって自省のよい勉強になりました。

こと、幼児体験や家庭内で繰り返されてきた経験に伴う価値観は、他のそれを知らないだけに「正しい」と思いがちになるのかもしれません。けれど、それが正しいと信じこんで、他の考えを持っている方々を否定したり、自分の中の正義を押し付けるのはちょっと違うのかなと思います。ジェンダーバイアスに至っては、生活の根っこに根ざした考え方なので、理解することと自分の行動指針として違和感なく取り込めるまでには、かなりの距離があるであろうと容易に想像できます。 「男やもめに蛆がわき、女やもめに花が咲く」。本当に余計なお世話なのですが、この言葉に耳が痛い方はご自分を振り返ってみてはいかがでしょうか。