役員メッセージ 素敵な方々

かつ便りNo.152 ~タイトルとお人柄~

 

 みなさま 田中かつゑです。週末自宅にずっといると、ニャンコたちが甘えん坊になります。人の傍にぴっとりと張り付き、少しでも姿が見えなくなると叫んで探すこと探すこと。そのため、週明けの朝は大変です。「ねえ、おかあしゃん、どこに行くの?いないの?ねえ、いないの?」 後ろ髪引かれます…。

 社会の中で、仕事をしている方々は大方名刺という自己紹介ツールを活用していると思います。そこには所属している会社や団体、自分のタイトル(肩書)、そして氏名と連絡先が記されているのが通常かと思われます。写真入りの名刺や凝ったデザインのそれも見受けられ、みなさまビジネスツールとして名刺を上手に活用なさっているんだなと感心することしきりです。今回はそんな名刺交換をした方々の中で凄い!と度肝を抜かれたお二人をご紹介したいと思います。お二人とも海外の方なのが残念なのですが。

 お一人目は仮想化ソフトウエア会社のCEOからご自分の古巣であった半導体メーカーのCEOに返り咲いた方です。Pさんとお呼びします。彼は初対面の誰にでも優しい笑顔を下さり、物腰も柔らかく、一見本当にCEO?と思ってしまうくらい腰が低い方です。そして彼のメモリーはどうなっているのだろうと常々不思議に思うのですが、以前会った人を場面と時期を合わせしっかりと記憶しているのです。私自身が彼と初めてお会いした時と二度目にお会いした時にタイトルが異なっていたのですが、その時の彼のセリフ。「やあ、かつ(私です)。以前お会いした時から昇格したんだね。おめでとう。私はずっとそのままだけど(CEOなので当たり前ですよね…)」びっくりしました。何故って彼は世界に名だたる仮想化ソフトウエア会社のCEO。片や私はちっぽけな日本のIT会社に勤める中間管理職。彼から見たら数多の取引先の1つに過ぎないはず。人たらしってこのような人を言うんだな、と実感したことを覚えています。そして彼のもう一つすごいことは、その後の会議で話しをしたことを殆ど記憶していて、その記憶が色あせないうちに適切な部下にそれらのフォローを促す指示を出している事。彼との会議の次の日、私は彼の会社の担当と具体的な案件の調整会議をしたのですが、その部下曰く、「午前3時にP(部下がCEOを呼び捨てにするんですよ。それもびっくり)からメールが来て、課題はXXXと思うのだけど、その件について掘り下げたい。」と提案されて、二度びっくり。午前3時、に、Pさんは起きていらして部下に指示メールを出したってことですね?そして、そのPさんは、何とその日の朝7時からお客様とのミーティングをなさっているとか。頭脳とお身体を酷使しすぎでは…。そういえば、何時だったか彼にお会いした時、キックボードみたいな乗り物に乗り、左足首には包帯?ギプス?らしい白いものが…「ハイ、かつ。昨日息子とサッカーしていたら転んでくるぶしにヒビが入っちゃって、まともに歩けないんだよ。」えっと…Pさん、お仕事お休みください。。。過酷な毎日を送りつつ、いつも笑顔で誰にでも腰が低いPさん。CEO自らが誰よりも働き、家族との時間も大事にするPさん。凄いという言葉しか出ません…。

 お二人目は、同じくCEOなのですが、前述のPさんより10歳近く年下の方です。並外れたITスキルと仲間作りが得意。彼にかなう部下はおらず、技術と経営の才覚がバランス良く発揮されている彼はJさんとお呼びします。彼とお会いした時渡されたのは、縦書きのカタカナで書かれたお名前。書体は明朝体?「こんにちは。Jです。よろしくお願いします。」と日本語でご挨拶され、ニコッと微笑む姿は人たらしその2、です。(海外の偉い人はみなさま全員素敵な笑顔をお持ちです。さらにフレンドリーです。)彼はビジネスパートナーのそれぞれの母国語の名刺を持ち、ご挨拶の言葉もドイツ語、フランス語、日本語、中国語…と何種類も練習なさっているとのことです。そしてやはり1回あった人はシーン含め必ず覚えています。お仕事邁進なのも部下や家族を大事にするのもPさんと一緒。一度彼の本社があるBという都市にお邪魔したことがあるのですが、なんと本社内で調理した焼きたてのパン(クラムチャウダー入り)が出てきました。その時のB市は寒く凍えるほど。レンガ造りの建物の中、温かく美味しい食べ物を頂きながら、協業ビジネスの話を詰めましたが、彼のおもてなしの素晴らしさに感動しっぱなし。

 多分なんですけど、お二人とも初見で名刺交換をする時も相手を細やかに観察・分析し、自分のフィールドに囲い込む術を心得ていたのだと思います。そして名刺をドアノックツールの様に活用し、ご自分と私たちの心の距離を縮めて行きます。私が前職を去り、彼らも会社が変わり、もうお会いすることはないのですが、お二人の人なつっこい笑顔ときめ細やかなお心遣いは、私自身がこれからも心掛けたいこと。そしてお二人の足元にも及びませんが、日々お会いできた方々を大事にしたいと気を引き締めるのです。