役員メッセージ ちょっと苦しい時に読んでみて

かつ便りNo.162 ~「ああ人生に涙あり」~

 

 みなさま 田中かつゑです。猫は場を読む時があります。多分こちらの気分状態を感じ取るのだと思いますが、私が家事で余裕がない時には(ちょっと試しに甘える仔もいますが)すぐに諦めて大人しく昼寝なりをしています。そして、家事がひと段落付き、私が椅子に座った途端、椅子取りゲームならぬ膝取り合戦が始まります。みんな、甘えたいのを我慢していたのね。良い仔ね(2匹乗ってくると重いです…)

 突然ですが「水戸黄門」というTVドラマの時代劇をご存じでしょうか。年齢が40代以上の方々ならおそらく、その主題化が脳裏に流れてくると思います。
このご長寿番組でずっと流れていた主題歌の歌詞を下記に書いてみます。

~♪
人生楽ありゃ苦もあるさ
涙の後には虹も出る
歩いて行くんだしっかりと
自分の道をふみしめて
人生勇気が必要だ
くじけりゃ誰かが先に行く
あとから来たのに追い越され
泣くのが嫌ならさあ歩け
♪~
(曲名:「あゝ人生に涙あり」 作詞:山上路夫)

 中々辛辣ではありませんか。実は幼少の頃この唄を聞いた私は、この「歩く」という意味が解らぬまま、人生って歩き続けないといけないんだ。しんどいんだなぁ…とドラマの内容とは関係なく、未来のしんどい自分を想像してため息をついていたのでした。

 そして月日が流れ大人になった私は、この「歩く」という言葉の奥深さを幾重もの意味で味わっています。一つ目は「知らない道をしばしば歩かねばならないこと」、二つ目は「歩き続ける行為そのものが大事であること」。最後は「動く歩道に乗ってはいけないこと」これらに対する私の考えを順にご説明します。

知らない道をしばしば歩かねばならないこと
自分の進路・周りの環境・取り巻く人々などが変わることは人生で度々経験します。進学・就職・転職(同一社内でも仕事が変わる事)・結婚・妊娠・出産と育児・病気・出会いと別れ等、語ればキリがありません。良い悪いに関わらず、イベント発生時には心にストレスがかかります。その新しいイベントに適応できるようになるまでには、驚きと脅威との対峙・不安定と混乱というプロセスを味わう事になり、その期間は心も身体も非常に疲れます。乗り切る事の出来ないリスクを抱えながらも、何とか慣れていく状態。これは歩いているんですね。 

歩き続ける行為そのものが大事であること
自分が進む道は自分以外の誰も創ってはくれません。たとえどんなに親しい人でも、応援こそしてくれても創ることはできません。自分で進む方向を決めて、道を創りつつ一歩一歩進み続けること。そのものが生きることだと思います。自分の体力・知力・精神力を磨きつつ、好きなことを見つけ、伸ばし、見識を深め、ある程度自分を律しながら、幾つになっても未来を築いていきたいです。

動く歩道に乗ってはいけないこと
昨日と同じ今日・今日と同じ明日という毎日を送っていると、何ら努力しなくとも日々だけが過ぎていきます。あら、もう年末?今年は何をしたのかしら。なんて感じです。世の中は環境も技術も状況も日々変化しているのに、自分だけが止まったまま。けれど歩道自体は動いているので歩いている様な気分だけは味わっている。深く考えることも・挑戦することもなく、身体も心も動かすこともなく只立っているだけ。どこに向かっているのでしょう…

 水戸黄門さまは、日本各地を漫遊して勧善懲悪を行ったそうですが、それはTVドラマの創作で実際は関東圏内を出なかったという説もある様です。けれど私としては、お仕事を引退後、徒歩にて「日本全国の世直し」という途方もない目標を持って、一歩一歩毎日進んでいた創作の黄門さまに対しては、実在してたかのような憧れを持ちます。それと同時に、高齢者と呼ばれるようになるであろう私も、壮大とまではいかなくともある程度の目標を持ち、その実現に向けて自分の道を踏みしめながら歩き続けて行きたいと、今年も終わりを迎える師走に改めて思うのです。(でも涙するほど辛い日々は過ごしませんよ。)