役員メッセージ 生きていくTips

かつ便りNo.164 ~視点それぞれ~

 

 みなさま 田中かつゑです。毎年年末に自家製鮭の燻製を送ってくださる古い友人がいるのですが、彼の溺愛していたニャンコが虹の橋を渡ってしまいました。彼の落ち込みはとても深く私も切なくなる程でしたが、最近母&娘ニャンコを新しい家族として迎えた様で、再び笑顔が戻ってきました。私自身もそうなのですが、きっと彼も、お空の上のニャンコと今の親子ニャンコのどちらにも愛情を注ぎ続けると思います。

 「冬はつとめて(早朝)」
これは清少納言著の枕草子より抜粋した、冬で良いと書かれている時間です。若い頃、この詩を読んでとても不思議に感じたことを覚えています。彼女は良い時間を、春=あけぼの(明けがた)、夏=夜、秋=夕暮、冬=つとめてと定義している様なのですが、自分の感覚だと春=午後の早い時間、夏=早朝・明け方、秋=夕暮、冬=お昼時。もちろん、昔と今では生活様式や時間に対する定義も異なり、同じ土俵では語れない事は重々承知なのですが、感性は人や環境、時代背景等によってずいぶん異なるのだな、と改めて感じた古文でした。(個人的には冬のつとめて…が私には一番辛いです。)

 そしてこの「感性の違い」はどうやらとても厄介なものだぞ、と年を重ねる毎に戸惑う場面が多く出現するようになりました。特に、性別・年代・育った土壌など、自分が経験していない環境下で育った方と触れ合うと、そのギャップが顕著に表れ、戸惑ったり困惑することが増えました。例えばこんなことです。

Case1
海外の友人と出かける約束をして、日にちを調整しようねという会話で別れた後、「明日の午後出かけられる?」と連絡が。おおっ、急ですね。調整はどこに?

Case2
年末年始に会えると思うから日にちが判ったら連絡するね、と遠方の友人からSNSが。そして1月3日に突然「今特急に乗ったよ」。時間は午後3時過ぎ。あら大変。急いでおもてなしの用意をせねば。お掃除して、おせちの他、彼女が好きなものを用意して。ああっ、お迎えが間に合わない!

Case3
(昔々のことです)飲みに行くと糸の切れた凧となる人なのですが、私が友人と食事に行くと、「どこに行くの?誰と?何時に帰るの?迎えに行く!」。監視?と邪推したくなる態度になった元カレ。自分も同じように根掘り葉掘り聞かれた挙句、時間制限までされたら嫌じゃないですか?

Case4
町内会など、序列が無い集団で、何か催し物を開催する準備に取り掛かると、「Xさん、Yをお願いします」と依頼されない限りボーッとしている方。さらにその依頼内容を咀嚼せず、見当違いなことをしでかしてしまい、結果的に準備の邪魔をする方。ご自分で出来ることを探して動いて頂けると助かるのですが。

Case5
ママ友たちとのお茶会。誰か一人が独楽鼠のように働いているのに、その方が見えないが如くおしゃべりや飲み食いに夢中な他の方々。えっと。みなさまで楽しむためのお集まりじゃなかったですか。

…いくらでも心の叫びが出てきそうなので、この辺で止めておきます。

 上記の場面で私がお相手の方だったらこんな対応を取ります。
Case1
近々1~2週間の間でいくつか候補を出し、双方合意の上出かける日と時間を決めます。
Case2
自分の予定が判ったら、すぐにお相手の都合を伺ったうえで電車の予約を取ります。
Case3
パス
Case4
予め、分担をみなさまで合意するか、それぞれができることを告知して頂き、できるだけ全員で協力し合えるよう水面下で動きます。
Case5
忙しそうな方に声掛けをして、出来ることはお手伝いさせて頂きます。

 ただ、この自分の取る行動が良いことなのかどうかは、息子の言葉を聞いて自省するようになりました。それは、「息子の僕の目から見ても、かつ(私の事です)は世話焼きなんだよ。」
もしかすると、私だけの目線で物事を考えていたのかもしれないのです。
例えば、
Case1は友人が最短で会える日を提案してくれたのかもしれません。
Case2は遠方の友人が忙しすぎて私への連絡を失念していたのかもしれません。
Case3はパス
Case4はXさんが本当に畑違いで、何も勘所が働かなかったのかもしれません。
Case5は私たちの声掛けが不要で、忙しくしていたのは何か別の理由があるのかもしれません。

 還暦を迎え、仕事以外の人間関係が徐々に増えてくるであろうお年頃になりました。序列や立場がはっきりしている仕事での人間関係はある意味楽なのですが、土俵が異なり、利害関係もない、価値観も違う方々とのお付き合いは、時にはしんどいのだろうな、と今から想像しています。自分だけの色眼鏡で物事を見ることをせず、対岸の発想も心掛けること。それによって今まで苦手だった方ともお友達になれるかもしれません。それと、お相手の考え方を拝聴することも大事ですね。自分も自分の考え方をできるだけお相手に伝えようと思います。