役員メッセージ ニャンコ

かつ便りNo.173 ~ノンバーバルコミュニケーション~

 

 みなさま 田中かつゑです。ここ半年ほどで体重の10%も痩せてしまった仔がいます。獣医に相談すると、ご飯を変えてみたら?の助言。そのため、その仔だけちょっと高級なドライフードを用意したのですが…匂いが良いのか他の仔たちも食べたがる~。困った…。

 明確に言葉に出さずとも、目つき・表情・態度・醸し出す雰囲気などで、その人がプラスの感情を持っているのか、はたまたその逆かは、何となく察しがつきます。そして、その察しの天才はペットとして人間と一緒に暮らしている小動物のように思います。昨日もこんなことがありました。その日は天気が余り良くなく、何時空が泣き出すかな…?という感じの雲が空を覆っていました。私自身は、その天気や気圧の関係なのか、体温調節がおかしくなったようで、ホットフラッシュと足元の冷えに悩まされ、身体が鉛のように重い、という最悪のコンディション。家事をやらねば、と思うのですが身体が動きません。普段よりヒーターの温度を上げ、まるで外出をするように防寒着を着こみながら、それでも何とか掃除と料理だけは…と居間まで行ったのは良いのですが、やはり身体が動かず。

 椅子に座りこんで身体が楽になるのをひたすら待っていたのですが、その時「ぅにゃ、ぅにゃ、ぅにゃ…」と小さな鳴き声が。見ると足元に寝ていたはずのニャンコが心配そう(?)に寄り添ってきたのです。
「ありがとうね、心配してくれたの?」
「ぅにゃん」
「おかあさんね、今日はちょっと調子が悪いの」
「ぅにゃぁ」
「いい仔ね…」
とその仔の頭を撫でると、彼女はぴょんと私の膝に飛び乗り、しきりに私の顔を舐め始めたのです。まるで「元気出してね、アタシがついているから」とでも言っているように(多分誤解だと思う)。それでも、彼女の温かい身体が膝の上にあると、私の身体もぽかぽかしてきます。同時に甘えた声を聴き、柔らかな身体と触れ合っていると、何だか心も落ち着いて来るようです。結局体調回復まで昼寝をしていたのですが、その時もその仔は私から離れず看病(?)してくれたようでした。ニャンコパワーですね。

 また、別の日。感情の切り替えが上手くいかず、負の状態のまま帰宅した時。ニャンコたちの態度は見事に二分されます。片や「ヤバい!おかあさんの機嫌が悪い。くわばらくわばら」と逃げ出す組。そしてもう一方は「おかあさん、どしたの?何か嫌な事があったの?ボクがアタシが慰めてあげるの~」と絡みついてくる組。絡みつき組は私に一層甘え、ゴロゴロゴロ…と嬉しさをおすそ分けしてくれます。安心しきったような、甘えた顔を見ていると、あら不思議。私のどす黒い感情が段々と消えていくではありませんか。そして、負の事柄に対しても「まっいいか」という切り替えが出来てきます。彼らの優しさに救われた感じです。そして、しばらくすると私の機嫌が直ったと思った先方の逃げ出し組が頃合いを見て、甘えてくるのです。

 個性にも寄るのでしょうが、逃げ出し組の行動は、私から見ても全うだと思います。触らぬ神に祟りなし、ですよね。誰でもとばっちりは御免だと思います。私がニャンコやワンコでも、御機嫌が悪い飼い主の傍には近づかないでしょう。そう考えると、後者の絡みつき組は、私の感情を読めない?読んでもスルー出来る?はたまた何も感じない?セラピスト?ととても不思議になってきます。そこで、絡みつく仔たちの私への接し方をちょっと観察してみた所、意外なことが分かったのです。

 彼らは例えば台所で火を使っている時など、明に私が「危ないから来ないでね」と低い声で言う時には近づきません。遠巻きにじっと、構ってくれる機会を伺い待っています。また、私自身に時間的余裕がなく、バタバタと走り回っている時も同様で、まるで私がそこに居ないかのようにお昼寝に勤しんでいます。そして、私に余裕が出来た時に、するっと懐に入り込んでくるんです。ここから推測するに、絡みつき組は私の機嫌が悪い時、敢えて安らぎを与え、私の心を穏やかに導く措置を取っているのではないのでしょうか。もちろん、これは私の邪推かと思います。けれど、心がささくれた時、言葉とはまた違った手段で、私を慰めようとする彼らは私にとっての精神安定剤の様な役割をしてくれています。

 小動物たちは人間と一緒の生活を営んでいると、飼い主の性格に合わせ、自分自身が快適に過ごせるよう、飼い主をコントロールしにかかるのかもしれません。ノンバーバルコミュニケーションは人対人よりも人対動物の方が盛んなのかな?とも思ったりします。そういえば、彼らは私たちが使う簡単な言葉を理解して行動しているようです。名前を呼ぶとこちらに来るし、「ご飯」の言葉に反応するし、「いい仔ね、大好きよ」にはゴロゴロゴロ…で答えてくれる。うんうん、コミュニケーションが成り立っているのでしょう、多分。
…でも私自身は…ニャンコたちが本当は何を考えているのかわかっているのかな?そして私の対応は彼らが望んでいることと一致しているのかな?などと考えたら結構不安になってきました。
確証が欲しいので、今はやりの猫語を翻訳してくれるアプリを入手しようか…とただ今絶賛お悩み中です。