みなさま 田中かつゑです。かなり前の事になりますが3Mの15%カルチャーやGoogleの20%ルールが話題となりました。私たちにも重要な示唆が含まれているので、思想も含めご紹介します。
実は私、3Mが大好きで、何回か交流の機会を設けて頂いたり、テクニカルセンターへ見学に行ったりしていました。(息子の就職にも絶賛したのですが、3Mの募集は化学。息子は物理。撃沈。)
15%カルチャーは自分の労働時間の15%を自分の好きなことに費やして良いというルールです。ただ、これ字面だけだと誤解しますね。言葉を補うと、
会社は本人に対して一日でこなせる仕事の1.2倍相当のノルマを課すのだが、それを労働時間の85%程の時間で完了させれば、残りの15%を新規事業に貢献する可能性のある研究に費やすことを上司は止めるものではない
というのが正しいのだそうです。口頭でお聞きした内容なので正しくないかもしれませんが。ちなみにポストイットはこの15%カルチャーの中で誕生したのはあまりにも有名なお話です。
結構シビアにきついですね。私もお聞きした時には、単に従業員に対する手が届きにくいニンジンじゃないの?と思いました。けどよく考えてみると…こんなことが示唆されていることに気が付いたんです。もちろん3Mの方と会話しながらですが。
- Time Management能力の育成(時間を自分でコントロールする)
- 好奇心の追求(社内の全てのリソースを自分の思いでR&Dに活用できる)
- 仲間作り(一人では研究は進まないのでゲリラ組織を作る)
- 新しいビジネスモデルの創出(発明・発見の商品化は経営会議案件。社長を納得させねば)
簡単に言うと、自分で工夫して時間作って、面白い素材見つけ、仲間を募って、プロトが出来たらお披露目して、GO/NO GOを判断する。素晴らしいと思います。
でもお話の最中、15%カルチャーについて昔を懐かしむような眼をしているのに気が付きました。会社が大きくなるにつれ、不文律である「汝アイディアを殺すことなかれ」(上司は部下の自由な発想を制止してはいけない)が形骸化してきたんだそうです。
また、インフラが整備されるにつれメールだけのやり取りが増え、ゲリラ組織を組まなくなったと。人との深い関わりや議論、Try and Errorがなくなりつつあるのを心配して、モックやプロトの発表会を開催したが、その場限りになってしまうと。
これは他山の石として、しっかりと刻まねばと思いました。私自身は会社を背負う立場の人間として二の轍を踏まぬよう経営陣自らが挑戦し続けることとSECIモデルの場を保っていきたいと思います。
今は若くて短期的な目標を達成することに注力しているみなさまも、年長になるにつれ長期目標を掲げながらマイルストーンを明確にし、日々の作業に落とし込むことが必要になってきます。時間の濃い使い方を習得し、新しい事に貪欲になり、仲間と共にワイガヤしながらポストイットみたいな面白いものづくりをして欲しいな、と思います。そして思いを実現させるしつこさの力を持ち続けて欲しいな、とも願っています。ポストイットは経営会議を7回だったかな?ボツになったそうですよ。
Melinda FiorinoによるPixabayからの画像