みなさま 田中かつゑです。ニャンコの感情は結構複雑です。喜怒哀楽はもちろん、嫉妬・羨ましいという、複雑な心も持っています。そのため9ニャンを分け隔てなく可愛がっても、私を独り占めしたい仔たちはしがみつき…つっ爪が食い込んで痛いです…
お客さまをご訪問する時は、雨など天気が散々でなければ着物で参上いたします。気持ちがしゃんとするし、私たちの技術の中心でもあるソフトウエア品質が、着付けの考え方と通じる所があるように思えるからです。着物をお召しにならない方には、???だと思いますので、順にご説明します。
- 着付けは襦袢(下着です)を皺なく美しく着ることが始まり
⇒ 品質はソフトウエアの設計時に非機能要件など目に見えない所にも焦点をおく - 着付け時は自分の体格を着物にあわせて補正する(タオルなどを胸や腰回りに巻きます)
⇒ 品質はテスト工程ではプログラムの完成形に抜け漏れが無きよう細部にも気を配る - 着物姿は見る人を意識しており、着ている本人の体感温度は優先順位が高くない(夏、涼し気に見える生地・柄をまとっても、ものすごく暑いです…)
⇒ 品質はお客様にとっての使い勝手を大事にする
着付けには凡そ40~50ステップ程、細部にまで決められた手順がありますが、そのすべてがいかに基本に忠実かを問うています。殆どの手順が下準備に相当し、それぞれに過去から蓄積された着崩れしにくい技が込められています。着るときには、見えない所に神経を研ぎ澄まします。そのため着物が似合う方は、着物や帯の柄ではなく、気姿が凛としていて隙がないのです。
ソフトウエアの品質も目には見えません。そして品質はやはり、製品を開発する準備段階(設計)が一番重要です。ここを皺ひとつ無いように丁寧に実施することで、出来上がりのソフトウエアはどんなことがあっても、お客様が安心してお使い続けられる抜群の品質を保証します。見えない所に細心の注意を払い、予めトラブルの原因を取り除く。日本の文化だなと思います。
物事には必ず、表と裏が存在します。表に気を使うのは大体の方が実行なさると思います。けれど、見えない所、つまり裏まで美しく、完全に、安全に仕上げることはかなりの労力と根気が必要かと思います。
けれど、実は下準備(ソフトウエア開発に於いては設計)を抜かりなく行っていれば、あとはその手順に則るだけなので、かえって迷い・抜け・漏れ・出戻りなどが皆無となり、思ったよりも短時間で素晴らしい完成形が仕上がるのです。
そして、ここからがもっと嬉しい事なのですが、その完成形への手順を体得してしまうとスピード、美しさ共にグレードアップします(ホントですよ)。着付けしかり、ソフトウエア開発しかり。基本を忠実に守り、繰り返すことで、自分の武器として蓄えられ使いこなすことが出来るようになります。
見えないから、目立たないからと基本をおろそかにすると、着付けの場合には着崩れとなり、お外で「まあ、どうしましょう~!」と焦ることになります。折角の綺麗なお着物をお召しになっていても台無しですね。
ソフトウエアにいたっては、重大障害やエラーによって、お客様の信頼をなくし、ビジネスに直結してしまいます。これも絶対に避けたいですね。
なので、今日も私は基本に立ち返り、丁寧に忠実に見えない所だからこそ丁寧に過ごすようにしています。見えない所すなわち裏が表の美しさを支えているのですね。