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かつ便りNo.49 ~苦手と慣れ~

 みなさま 田中かつゑです。帰宅が遅くなった日。ただいまとドアを開けると、それまで寝ていたニャンコたちが眠い目をこすりながら(の様に)「おかえりなさぁい」と近づいてきます。足元にすりすりしながらゴロゴロゴロ。偉いねぇ。待っていてくれたんだねぇ。おかあしゃんは嬉しいですよ。

 みなさまには馴染めないというか、やりたくない類の苦手なものはありますか?私は恥ずかしながらお裁縫がとても苦手です。なので手作りの制作物を見ると、すごいなぁと感嘆すると同時に、出来ない自分の心に隙間風が吹いたりします。家庭科で習ったのですがね…実習で洋服も作ったのですが…

 何故か自分の中に「裁縫は向いていない」という苦手意識が巣食ってしまい拭えません。

 この原因、実ははっきりしているのです。まだ幼少の頃、裁縫好きの母の隣に佇んでいた時のお話です。母が手慰む針や糸に興味が湧き、つい触ってしまったんですが、この時、母の金切り声が飛びました。

「触らないで! あなたが針を触るとみんな錆びてしまう。」

 その一言で、私は裁縫をしてはいけないのだ…と刷り込みが完了しました。子供が小さい頃の親の一言にはすごい影響力があるものですね。それからウン十年。その呪縛からは解けずにいました。

 ところが、子供たちが独立して少しすると、ニャン関係のものを作りたいな…と思いだしたのです。おそらく、愛情を注ぐ対象が目の前からいなくなった反動とは思いますが。どうせならこれを機に「苦手」がどんな過程で「得意とまではいかなくとも、好き」に変化するのかを探ってみようと考えています。

 今までの私の思考と行動は次の様でした。

 苦手⇒近寄らない⇒機会があっても避ける⇒出来ない言い訳を並べる⇒苦手…

 であれば、この逆を実行すれば良い訳ですね。でもそんなに上手くいくのかしら?時間軸は?途中で嫌になって元の木阿弥に?やっても上達しないのでは?頑張っても苦手だったらどうしよう…?

 さあ出ました。言い訳のオンパレードです。よっぽど苦手なんですね、私。

 さて、このままでは苦手クンのままで行きそうです。なので、目標を立てることにしました。それは、ニャンのお座布団を作る事。冬に備えて今から準備をしていこうと思います。ニャンが気に入ってくれる肌触りの生地は?大きさや柔らかさは?お洗濯しやすい方がいいな等、楽しい事だけを考えるようにしています。

 そして、一番大事なことは、慣れる事。昔から努力に勝る天才はなし、と言うではありませんか。だったら私も慣れることで、少しずつ苦手の鱗が剥がれていくことに期待します。

 そういえば、英会話もそうでした。数年前までは、(頻繁に海外出張に行っていたのに)英会話に自信がなく、苦手だなぁ…とため息ばかり。けれど、自分で海外ビジネスを切り開かねばならない局面となり、必死で学校に通い、文法を復習し、間違えて当たり前と開き直って声を出すようにし続けた所、段々と薄皮を剥ぐように苦手な感情が浄化されてきたのです。今も決して流暢ではないし、言い間違えるし、単語が出てこないなんてしょっちゅうですが、楽しんで話せるようになったと思っています。

 だから、お裁縫もきっとそうなります。

 自覚している苦手な事に関しては、克服なんてしない方が良いと思います。勝つのではなく、仲良くなればハードルが下がるし、楽しめる。そして仲良くなるには苦手クンを知る事、すなわち飛び込んで、接触の回数を増やし、慣れていく事です。頭と身体の両方が苦手クンに慣れてくれば、身近に感じ、親近感がわきます。そしていつも一緒に居ることで、だんだんと好きになってくること請け合いです。

 私も針と糸を操りながら、出来上がったクッションの上でまどろむニャンを想像してワクワクしています。

StockSnapによるPixabayからの画像