役員メッセージ

かつ便りNo.71 ~階段~

 みなさま 田中かつゑです。畳・障子に襖。ニャンコとは最も相性が悪い部屋が我が家のリビングです。年末に頑張ってプラスチック障子を張り替えたのですが…ニャンコの遊び道具が増えただけの感じがします。ついでに襖も開け方をマスターしてしまいました。ぐっすん。

 少なくとも私には、何かを上達するためのマイルストーンが絶対に必要です。壮大なゴールを掲げると、そこがはるか彼方に見えて挫折してしまうからです。何とも意思が弱い人間なのですが特性なので仕方がありません。特にコツコツと続けることが苦手なため、節目節目にイベントを設定し、心新たに次のステップに行けるようなマインドセットチェンジを試みています。

 それでも、ゴールがあるんだろうかと思われる習い事、特に語学に関してはこのモチベーションが非常に保ちにくいです。六十の手習いで(必要に駆られ)英会話を習っています。初めの頃は英語での意思疎通が嬉しかったのですが、今まさに行き詰まりを感じています。それは、日本語の微妙な言葉の綾を表現しきれないもどかしさとでも言うのでしょうか。言語とは異なる文化・価値観・考え方がベースになっているので日本語での表現が全て正しいとは思いませんが、それでも言いたくなる、「いただきます」「ごちそうさま」「お疲れさま」「よろしく」や擬音語等。似た意味付けや説明する事で言わんとしていることは伝えられますが、それでも何となくしっくりこない自分がいます。同時通訳や翻訳を生業としてらっしゃる方々はどうしているのだろう、と感心するやら疑問が晴れないやら悶々としています。多分日本語を習ってらっしゃる方々も、同じようにこの複雑怪奇な言語に面食らっていらっしゃることでしょうね…。

 ただ、私はこうして悩んだり考えたりすることは上達に必要なプロセスだと思っています。自分の頭の中で言語とそれを形成している文化を整理し、理解しようとする作業を脳みそが頑張っている証だと思うからです。そうでなければ、呪文や般若信教のように(仏教関係の方々ごめんなさい)、丸暗記に頼ることになり、付け焼刃で終わってしまうでしょう。

 例えば誰でも知っているこの言葉。「こんにちは」は英語だと”Hello”。日本語の語源は「今日は、ご機嫌いかがですか」などの略で、お昼に初めて出会った人の体調や心境を気遣う言葉。方や英語の語源は電話での呼びかけ語に採用されたことから、と一説にあります。歴史も考え方も異なる背景が全ての言葉に織り込まれているのだと思います。それらの歴史が言葉となって現れているので、比喩・ことわざ・言い回しが面白いほどに異なるのですね。

 私が今御託を並べている様に、上達の階段を昇っている時は誰にも必ず停滞期という辛く苦しい時期がやってきます。その水平部分(つまり自分で手ごたえが得られない、または後退していると感じる期間)に差し掛かった時に、どのようにモチベーションを保ち、次のステップへと進むことが出来るのかが、自分自身のマイルストーンの設定の仕方にかかっていると思うのです。

 私は今、英語という言語に対して自分の思いを出来るだけ正確に伝えられるように、英語での言い回しの語源や背景を知ることで、その文化に同化しようと努めています。それらを知ることで納得し、その言葉を使えるようになろうと、もがいている訳です。理解の度合いが少しずつ増えていくことで、自分の中の日本語の辞書と英語の辞書が上手く融合できたらいいなと甘い期待もしています。

 何らかのお稽古や習い事をなさっているみなさま。還暦近いおばさんも頑張っています。一緒に楽しくご自分のペースで一歩一歩階段を昇っていきましょうね。