役員メッセージ 仕事に関すること

かつ便りNo.91 ~二兎を追う者は…~

 

 みなさま 田中かつゑです。10匹のうち、一番体格の良いブチの仔。昨日具合が悪くなりました。嘔吐を繰り返し、当然ご飯も食べません。誤食をしたのか、病気か…心配で我が家は大騒ぎです。ところが、翌日にはケロッと「ご飯なの~」。私、体の力が抜けましたよ。元気でいてね。

 先日アジサイがなんと10,000株以上も咲き乱れているという期待に胸が躍るような庭園に行ってきました。その時に思った事がビジネスモデルとターゲティングの設定、運用の難しさです。その時の振り返りから何か見えてくるものがあると良いのですが。

 まず、庭園というと私は、自然と植物を楽しみ、周りの方々との調和を保ち、静かに堪能する様をが思い浮かべます。行き交う方々も写真を撮る、スケッチをする、じっと佇んで美しさを目に焼き付けると、楽しみ方もさまざまですが、「静」での鑑賞を全員で共有している様に思われます。ところが、その庭園は異なりました。「静」と「動」が交錯していたのです。

 おそらく「動」のターゲット顧客はジュニア層から20代の活気溢れる世代。静かに植物を鑑賞したい壮年の私とはずいぶんかけ離れています。そして「動」のアトラクションが庭園内のあちこちに設置されているのです。そのため、静かにお花を観賞している上空で歓喜の叫びが鳴り響き、アトラクションを楽しむ若人の賑々しい言動は嫌でも目に入ってきます。それはそれで微笑ましい事なのですが、とても静かに植物を愛でられる空気ではありません。私と同じ感想をお持ちの方々もいらっしゃるようで、庭園内散策コースを途中で引き返し、帰路につかれる方々も大勢いらっしゃいました。(アトラクションは安全のため晴天にのみ運行だそうで)「雨の日に来れば良かったわね。」とおっしゃる方もいらっしゃいました。庭園のオーナーには申し訳ありませんが、私も同じ感想を持ちました。

 好意的に見れば、どの世代のお客様も思い思いに楽しめるようにと、個々の世代をおもてなしするためにオーナーが様々な工夫を凝らした娯楽施設なのでしょう。「静」と「動」が共存しているのも、アトラクションを楽しむお子様とその保護者の方々が一体化して楽しむことを意識してのことかもしれません。けれど「アジサイが咲き誇る庭園」をこの施設の目玉にしているため、私の様に庭園のみを目的に訪れる客にとっては、楽しむよりも騒がしさに度肝を抜かれてしい、後味の悪さだけが残る様です。さらに気分転換に入ったレストランでも内装・音楽・メニューのすべてが若者向けに見受けられ、オーナーの方には申し訳ないですが退散してしまいました。

 どんなビジネスでも共通だと思いますが、老若男女すべての人が歓喜するモデルはそうそう描けないと思います。ましてや飲食や観光産業ではターゲットの絞り込みが非常に大事だと思っています。ペルソナ設定をしっかりと実施し、そのターゲットとなる方々が繰り返し訪れてくれる空間・雰囲気・価値を提供する事が安定したビジネスを創り出していく近道だと考えます。

 散々な庭園鑑賞でしたが、帰り際に期待もせず入った水族館では、思いがけない「静」と「動」の共演を見ることができました。それはオオサンショウウオのお食事。オオサンショウウオは夜行性かつ、餌をたべるのは1週間に1度なので、普段はたまの息継ぎを除いて水中でじっとうずくまっています。その個体が元気よく餌をぱくついた様子を観察していた、私を含む見物人は思わず「おおっ!」とどよめき。それこそ老若男女問わず、両生類好きも、そうでない人も一緒に感動したのでした。