役員メッセージ

かつ便りNo.95 ~進歩は階段状に~

 

 みなさま 田中かつゑです。10匹の猫は、茶トラ、三毛、ハチワレ、サビ、キジ、サバ、そしてグレー。ふわふわと舞っている毛を集めてボールにすると、それは大きなミックス毛柄になります。この毛のせいで掃除機が壊れ、修理に出す羽目となりました。すごい威力だ…

 何かの体験レッスンに参加なさった方はお分かりになるかと思いますが、体験イコール新しいスキルの習得と私たちは簡単に誤解してしまいます。そして入学の手続きをいそいそと行うのですが、その習い事にいざ通い始めてみると「あれ?」と思う事が多くあるように思います。思ったより自分できていない、とか期待外れだったとか。実は私自身も何回かその洗礼を受けました。今回はその過程から物事の習得に関する度合いを考えてみたいと思います。お料理教室を例にしてみましょうか。

 体験レッスンとは、その物事に対して不安の払しょくと興味/自信/上達の動機付けをするのが目的ですから、料理って何?と言う人が体験レッスンに参加しても、ある程度の成果が達成できるよう組まれています。具体的には、野菜の下ごしらえや調味料の計量などが既に終わっていて、参加者は混ぜるだけ、火に掛けるだけの状態ですね。しかも講師が火加減や時間など的確に指示をしてくれるので、当然「私にも出来た!」となる訳です。さあ、ここでやる気に満ち溢れ教室に通う事になったとしましょうか。

 多分、初回は包丁の持ち方・切り方、調味料の測り方、火加減、など基本的な[料理をする前段階に習得する技術]を教えてくれると思います。そこで、初心者は「?」となる訳ですね。前回上手にできたのに、何故…?と。あるいは、もっと手の込んだ料理ができると思ったのにつまらないと思うかもしれません。基礎を習っていますから、華やかさはないと思います。さらにお料理教室だけの時間では、自分の技術は進歩しません。繰り返し自宅での復習が必要となります。身体に覚え込ませるのですね。

 練習を繰り返すうちに、包丁さばきが早くなったり、調味料の加減が目分量で分かるようになったり、煮物を火にかける時間が感覚として分かるようになると思います。講師の指示に従っていた受動的な姿勢が、自分から能動的に物事に取り組めるようになったということですね。進歩の階段を一歩登りました。

 次は基本から応用です。教室で習ったメニューだけでなく、例えばお料理の本やSNS、動画などで参考になるメニューを作ってみる、あるいは、あれもこれもではなく、自分が好きなジャンルを深堀りしたりする過程です。これも、挑戦した料理が自分のレパートリーに加わった時点で階段をまた一歩登りますね。

 この進歩を簡単に表すと以下の様になります。

  • 体験の錯覚による興味/好奇心/やる気の触発
  • (上記が原動力として開始した)基本スキルの反復による定着と自信
  • (基本を習得した礎からの)応用への挑戦と転換

 お気づきとは思いますが、スキルの上達具合は決して右肩上がりの直線ではありません。踊り場を何度も経験する階段状の登り方になります。そしてその踊り場にいる期間、反復の途中が挫折しやすいある意味危険な時期でもあります。その理由は定着までの期間が苦しく、失敗も多く、成功のイメージが伴ってこないため、そして成功にたどり着く時間軸も見えてこないからなのです。

 けれど、ご安心ください。踊り場にいる間も確実にスキルはアップしています。それが目に見える形で現れるかどうかだけなのです。踊り場にいる期間は思い切って楽しみ、失敗バリエーションを増やす位のポジティブな自分を演じることをお勧めします。そこでの反復に対する忍耐、失敗に関する原因分析と次回への工夫は、あなたが後々異なる何かに挑戦した時の武器となるはずだからです。

 私もその階段を何とか上がり、用語すらわからなかった着物ライフを心から楽しめるようになりました。一番若い今から出来ることは沢山あります。