役員メッセージ

かつ便りNo.96 ~言葉の持つ力~

 

 みなさま 田中かつゑです。毎朝私の脛を舐めることがマイブームになった仔がいます。ご存じの通りニャンコの舌はザラザラしているので、ちょっと…痛い…かな。甘えてきているのは分かるので嬉しいんですけどね。ちなみにその仔は私の通り道によく寝転がっていて、私に危うく蹴られそうになったりします。

 言葉とは不思議なものだと思います。多分発した側は程なくしてそのことを忘れてしまうのでしょうが、受け止めた側は、折に触れその言葉をかみしめるのです。琴線に触れた言葉はその時々で彼/彼女の力となり、次への一歩を踏み出すきっかけにもなるでしょう。逆に心に突き刺した言葉の刃は、忘れようにも忘れられず、何かの拍子にその傷が受け止めた側を苦しめたりもします。

 今回は私が周りの方々から聞いた、その方の心の礎になっている言葉をご紹介します。

  • Aさん:彼は前職の時、プロジェクトで一緒にお仕事をした先輩に、打ち上げの時こういわれたそうです。「君は当社での自分の息子だから。離れていても、違う仕事をしていても、ずっと見守っているから。困ったり、悩んだりした時は遠慮なくいらっしゃい。上手くいっている時は連絡はいらないよ。」 彼は仕事で行き詰る度、最後の砦に先輩が居る、と思うだけでもう一歩の力が湧き、頑張ることができたそう。そして、10年後にベンチャー企業へと転職していきました。「先輩、自分はやっと自分が親となる自信がつきました。あの時先輩が『自分の息子』と言ってくれとても嬉しかったです。先輩の息子に恥じないようになりたいと頑張れました。これからは自分が若い技術者を育てていきます。」と、卒業の言葉を添えて。
  • Bさん:彼女は仕事の実績を買われ、幹部社員登用候補者に推薦されました。けれど、御本人は仕事・家庭・プライベートの個々を考えると責任のある立場に昇格してしまう事に恐れを感じていたそうです。部下を上手く指導できるのだろうか、私が課長になったら年長の方に恨まれないだろうか、今でさえ精一杯なのに責任という重圧が加わったら自分は耐えられるのだろうか…。考えれば考えるほど混乱は強まり、その推薦を辞退しかかったそうです。けれどメンターに当たる人から言われた一言で、すっと気が楽になったとか。「たかが課長じゃないの。あなたがいくら頑張ったって会社の業績は跳ね上がらないし、逆に会社に痛手を与えることもできない。せっかく違う側面から仕事に携われるのだから、面白いと思った事だけまずはやってみては?」

 彼にセーフティーネットを提供した先輩、彼女に良い意味でのいい加減さを推奨したメンター。双方とも彼らが「真面目で頑張り屋さん」であることを熟知していたのでしょう。その上で彼らに対してどんなサポートを表現したら良いのかを的確にお伝えしたのだと思います。曰く、彼には「思い切りやってみる」を、彼女には「肩の力を抜く」ことで自分を守ることを。素敵な諸先輩ではありませんか。

 実は私も若い頃ある人から伺った仕事に対する心構えをずっと守っている一人です。それは、「幹部社員になったら、課長の時代は自部署と他部署の利益を7:3で考えろ。部長になったら5:5で。事業部長になったら3:7だ。社内ポストが上に行けば行くほど関わる部署が増えるし、仕事の規模も大きくなる。普段の行動指針がいざというときの味方を呼ぶのだよ。」その方は私に天狗になるな、周りの組織や人たちの協力があってこそ自分の仕事が上手く回ると心得よ、と教えてくれたのです。その後幹部社員になった私はこの言葉を実直に守りました。振り返ると腹が立つはず、とか理不尽だとかの場面は沢山あったはずなのですが、実は私、覚えていないのです。それは、このおまじないの言葉プラス、「たかが仕事。自分の心を大事に。だって私可愛いんだもん。」という天然がくっついていたことは、時効としましょう。自分に対して言葉に出して褒めてあげるって意外と効果あるんですよ。