テクニカル

ITとは何か(3/4)

大きな変化をしてきたITであるが、実は変わらないものが3つあるというのが私の実感である。
この3つがITにとって柱であり、軸となるものであると考えている。

前回、その1つ目は「簡単にすること」である、と述べた。
単に機械化するだけではなく、人の作業を削減したり、流れ自体を簡略化することがITに求められる要素であると私は考えている。

しかし、残念ながら、簡略化出来ていないシステムも多いと感じる。単純に機械化しただけであり、本当の意味での簡略化ができていないシステムが時々ある。
ぜひ、このような視点で世の中のシステムを見てほしい。案外、多くのシステムが非IT化であることに驚くかもしれない。

さて、2つ目である。
これも身近な多くのシステムが充足していない事項である。
例えば、使い慣れているパソコン(OS)が、メーカー側の事情によりバージョンアップされたケースである。機能が強化され、今まで出来なかったことが出来るようになったり、見栄えが派手な画面になったりすれば、新しいPCを購入したり、既存のPCをバージョンアップして使ってみたくなるものだ。
そして、初めて(わくわくしながら)PCを立ち上げるのであるが、以下のような事態に直面するのである。

  • 画面などが大きく変化していて操作に戸惑う
  • 自分がこれまで頻繁に利用していたアプリの起動方法が変更になってしまい、どう起動すれば良いのか分からない(アイコンの格納位置が変わることはしばしばある)

皆さんも上記のような経験はないだろうか。
そして、何とかアプリのアイコンを見つけて起動したものの、次の障壁に直面する。

  • アプリ上のメニューが倍増していて、自分の使いたいメニューが見つけられない
  • メニューが見つかったとしても、機能強化に伴い設定しなければいけない項目も増え、その設定に多くの時間がかかる

アプリを利用して急ぎで作業をしなければならない場合と、上記(バージョンアップ後のアプリとの戦い)が重なれば、誰もがふと口にしてしまう。

 「バージョンアップしなければよかった」

そして、バージョンアップしてから半年ほど経過してみると、下記の状態であることに気がつくのである。

  • 機能理解や設定が難しそうなため、結局はこれまでと同じ機能を、同じように使うだけとなり、バージョンアップにより強化された部分はほとんど利用していない

さて、2つ目のキーワードはおわかりになったであろうか?

答えは「分かりやすいこと」である。
つまり、IT化したら、これまでの作業をどのように行えばよいのかが、画面などから視覚的に理解できることが理想であり、実現には、システム設計において、画面の流れ(遷移)、画面のデザイン、誤操作に対する親切なメッセージなど、多くの工夫や専門知識が必要となる。

当然であるが、IT化するシステムの利用者層をきちんと理解した上で、その利用者にとって分かりやすい事が重要である。子供向けには絵を入れてフレンドリーにしたり、年齢層が高い対象者向けには文字を大きくしたりといった工夫が必要になるであろう。

IT成長の柱の2つ目は「分かりやすいこと」、上記が私の考えである。
皆さん、どう思われただろうか?

次回は柱の3つ目を紹介します。3つ目のキーワードを皆さんも予想してみてください。

kiquebgによるPixabayからの画像