テクニカル

ITとは何か(4/4)

大きな変化をしてきたITであるが、実は変わらないものが3つあるというのが私の実感である。この3つがITにとって柱であり、軸となるものであると考えている。

前回までに3つのうち2つをご紹介してきた。

●1つ目は、「簡単にすること」
人の作業を削減したり、流れ自体を簡略化することがITに求められる要素であると私は考える。簡単にすることにより、これまでの所要日数が削減されたり、操作の手間が減ったり、企業側や利用者側も、対応に必要であった手番やコスト上のメリットが出て初めて、ITと言えるという事である。
逆に、これまで手作業で実施していた作業を、単にシステム化するだけ(流れや手番がかわらない)では、ITとは言えず、単に機械化であるという主張である。

●2つ目は、「分かりやすいこと」
システムをIT化したら、これまでの作業をどのように行えばよいのかが、画面などから視覚的に理解できることが望ましい。そのシステムを利用する人にとって、これまでと同じ様に(特別なレクチャーを受けたり、説明資料をじっくり読んでもらう様な手間を必要としないで)操作が可能でなければならない。例えばスマートフォンの基本操作さえ知っていれば、アプリケーションの導入直後から、これまでと同じことがアプリケーションを利用して操作可能であるということである。この実現には、ターゲットとなる利用者がどのような人で、その人の特性(アプリ操作に慣れているのか、画面上のフォントやボタンサイズはどのくらいが見やすいか、など)を理解した上で画面を設計する必要がある。勿論、画面の流れ(遷移)、画面のデザイン、誤操作に対する親切なメッセージなど、多くの工夫や専門知識が必要となる。

そして今回は3つ目である。
3つ目はITの基本となる事項であり、設計〜システム構築〜システム運用の全てのシーンにおいてベースとなる要素である。プログラムの作成に欠かせないものであるし、何か問題があった時に、迅速に最適な解決を行うためにも、とても重要なものである。

●3つ目は、「ロジカルであること」
これは説明するまでもないであろう。
システムを利用する人の特性をロジカルに分析したり、画面操作のしやすさをロジカルに分析することなど、多くの場面においてロジカルな考え方(ロジカルシンキング)が必須となる。更に、システム設計において多発する「関係者間の交渉(ITシステム構築においては、色々な人がそれぞれの立場より希望を言うものである。これが全体で見ると相反する事項もあるので、どのように実現するかを検討し、場合によっては一部の希望を実現できない場合などに代替策を検討し、交渉する)」でも、ロジカルシンキングは欠かせないのである。もしもロジカルシンキングなしに設計してしまうと、特定の趣味嗜好に偏ったシステムとなってしまい、一般的には使いづらい(もしくは癖のある)システムとなってしまうだろう。

さて、これまでITに欠かせないもの、変わらないものを述べてきた。皆さん、どう感じられたであろうか。

  • ちなみに、3つのキーワードの頭文字は「か、わ、ろ」である
  • 「かわらないもの」のキーワードとして、まさに偶然である

実はこの3つは、IT以外でも、とても重要なものであり、あたりまえなものばかりである。一般的に、何か物事を新しくしたり、大きな変化がおこる時(人に、その変化が支持されるためにも)は、この3つは欠かせない、重要な要素であろう。
実現には、それなりのスキル、時間、コストが必要となり、簡単ではない。しかし、この3つの要素の一つでも欠けると、これまで説明してきた通り「機械化しただけで手間が多い」「画面操作が分かりづらい」システムとなってしまい、場合によっては、システム化されたために利用者が減るという、まったく無意味な投資になってしまう可能性もある。
常に意識したいキーワードであると私は考えるのだ。

さて、四回に渡ってITとは何かについて、私の考えをご紹介してきた。
ぜひ、読者の皆様も、自分の経験と照らし合わせて、ITにとって重要な要素について考えてみてほしい。

Gerd AltmannによるPixabayからの画像

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